異世界拷問姫6巻感想(二周目)
さて、この異世界拷問姫二周目感想シリーズもこれで最後となります。ついに櫂人君編の完結となる第6巻!!
虐待されて死んだ少年は異世界に転生して何を得て、何を思うのか。 それが全て語られる巻でございます。 櫂人君は最初は無力な少年でした。 エリザベートに召喚された当初は『もう人生に疲れたんだ。殺してくれ』というレベルでしたがそこでヒナに会って初めて守りたいものが出来て、悪魔の戦いの中で家族の温かさを知っ……それを教えてくれた。また、自分を救ってくれたエリザベートをヒーローだと言い挙句の果てには
『お前のためならなんだって出来るし、なんにでもなれるよ』
とまで言うようになります。 そして櫂人君はエリザベートのために世界の敵となり遂にはそのエリザベートを救うために『狂王』として世界を引っ張る存在になりました。しかし櫂人君はそれでも本質は無力な少年なのです。それでも櫂人君はエリザベートを救いたいの一心でその場所に立つのです。
これは恋の物語ではありません。 愛の物語なのです。 エリザベートの元には常に愚鈍な従者が一人いました。たったそれだけのことなのです。
狂王となった櫂人君は全人類の王として血を吐きながらも戦線に立ち、悪魔から皆を守ります。どこか無邪気に笑顔を作るんですけどそれがとても痛々しくて…… でも世界を救うためにはエリザベートを殺さなければなりません。果たして櫂人君はエリザベートをその手で殺せるのでしょうか? 間違いなく殺せないでしょう。 だってエリザベートは彼にとって唯一のヒーローなんですから。
そしてそんな課題にぶつかりながら櫂人君は嫁であるヒナとかつてエリザベートとヒナと櫂人君の三人で笑いあった家であるエリザベートの城でお家デートします。 その時に櫂人君が日記を書くのですがそこには
『俺はここにいた。俺の大切な人達もここにいた。どうか、そのことだけ忘れないでくれ。たとえ、この先に何があったとしても』
と書かれています。 もう『忘れないでくれ』ってセリフが本当に重く重くて辛いって感じなんですよね…… さらに最後には
『これを誰かが読むとき、俺はもう帰れなくなっているだろう。この日記を、二人がいつか読む日は来るのだろうか。もしも、読むことがあるのならば、どうか、元気で。愛してるよ。心から。』
あーーーーーーもう無理!! 愛を知らないで育った少年が『愛してるよ。心から』なんて……もう辛い…… しかもその後の展開を知ってると本当にグサグサと刺してくるんですよ……
そしてそんな日記を書いて最終決戦。 そこで櫂人君がエリザベートと会うのですがその時の会話がもう泣けてきますよ。
「貴様が言ったのであろう! 最後まで余の傍にいると、他でもない貴様が!」 「大丈夫、約束を守るよ」
エリザベートは櫂人君が離れることを理解して約束に縋ってまで呼び止める。もうそれが本当に辛い……そして櫂人君が喋った時の表情の描写はないんですがエリザベートに優しく微笑みながら言ったのが想像に容易いのが……もうホントに辛い……
そして最後に
『大好きだよ。エリザベート』
最後の最後に一番ストレートに自分の本心を告げる櫂人君がもう“ああぁぁぁぁぁぁ!!”って感じなんですよね!!
そして櫂人君はエリザベートの役割を全て受け継げ世界の再生と破壊を行い、自身は飛び込んできたヒナと一緒に結晶の中に閉じこめられて永遠に生き続ける。 そうして世界は救われました。
櫂人君はそうなって最後に
『俺は、産まれてきてよかったと』
最初は死を望んだ少年が生に感謝。 もうホントしんどい…… そしてあんまりな展開……
世界的にも物語的にもハッピーエンドでも私からしたらもうこれはバッドエンドです。 櫂人君はその結末に不満はない。 でも、櫂人君には最後の最後までエリザベートと笑って過ごして欲しかった。 でも櫂人君はこの展開で満足してる。 それがとても辛いんですよね……
それが六巻であり異世界拷問姫の一部の完結なんですよね。
これは恋の物語ではない。(エリザベートというヒーローへの)憧れと(自身を犠牲に世界を救うという)愚行と、幸福な愛の物語だ。
とても最後は悲しくて辛くて、でも最高な物語。それが異世界拷問姫でした。
……まぁ、まだ続くんですけどね!!! しかも次はアリス・キャロルっていう私のお嫁さんも出てきますしね♪
以上で異世界拷問姫二周目の感想を終わります。もしかしたら後日1巻~6巻の総評記事を書くかもです。